【令和6年度(2024)愛知県公立高校入試 解説】社会

令和6年度の問題は、昨年度と比べて全体的に易しかった。
昨年度は共通テストさながらの難解な資料考察問題が多数出題されたが、今年度はなりをひそめ、教科書に沿った内容の資料考察問題がほとんどであったため、受験生は取り組みやすかったと思われる。
加えて、完答形式の問題が10問から6問に減少し、「全て選べ」という形式も予告通りみられなかったため、平均点の上昇は間違いないであろう。

【出題形式の変化】
大設問が公民分野で1題増え、6題となった。2022年以前に戻ったかたちである。

【歴史分野】
昨年度みられた高度な資料読み取り問題や、仮説の検証に基づく煩雑な資料問題が出題されなかったため、解きやすかった。歴史分野としてはここ数年で最も易しかったのではと思われる。
なお、大設問2では、今年から使用される紙幣に描かれる人物が題材とされた。資料Ⅲの岩倉使節団が訪れたZは農業大国フランスである。
また、大設問1・2ともに日本と世界の同年代史が出題された。(入試前に配布した日本史・世界史対応年表を確認した塾生には有利に働いただろう)

【地理分野】
日本地理・世界地理ともに例年通り複数の資料を読み取る問題が多く出題されたが、昨年度と比べるとやや易しかった。
大設問3(1) 「海岸線距離から長崎、1月の平均降雪日数から石川」で容易に正解できる。
大設問3(2) 資料ⅢBは際立つ地熱発電量で温泉の多い大分県である。
災害に関する問題が昨年度に引き続き出題され、大設問3(4)が難易度的には易しいものの二つともできて2点の配点であったため、この問題のできがポイントであった。
大設問4(1) よくある北緯40°線上にある国々についての出題である。日本では秋田県を通る。資料ⅠXの都市はニューヨークであり温暖湿潤気候の雨温図を選ぶ。
大設問4(2) aアメリカ合衆国西部、bヒマラヤ山脈からデカン高原の地形断面図を選ぶ。
大設問4(3) 標高やジャガイモ栽培、リャマの写真からペルーだが、首都と北極点の距離の大きさや第一次産業の割合の高さ、キリスト教信者の割合から、選択肢はオに決まる。

日頃から「答えがあっていればOK」ではなく、答えではない国々のデータも確認する習慣をつけておく。知識の引き出しを多くしておくことである。

【公民分野】
前述したように昨年度大設問1題であったものが、経済分野で1題、政治分野で1題と2題形式となった。
経済分野からは今年の私立中学入試同様、物価の推移を指数で示したものであった。前年より数値が下がっても指数が100を下回らない限り、実際の物価は上がっているため、指数の読み取り問題は間違えやすい。
昨年度は歴史分野で、前年比の推移の読み取り問題が出題されているため、指数や前年比の読み取り問題には留意が必要である。なお、試験の時期が早まっているからか、経済分野の後半や国際社会分野といったおもに3学期に履修する分野からの出題はみられなかった。

今年の入試問題では、物価上昇や法の支配についての出題がトレンドであった。大設問6(1) 法の支配については私立中学入試でも問われていた。勘違いしている中学生も多いようだが、法の支配とは「法で権力を制限する」ものでありその逆ではない。

【来年度に向けて】
昨年度が例年と比べて難易度が高く平均点も低かったので、今年度の易化はその反動であろう。現在の社会の入試は、資料を正確に読み取り考察して正答を導きだす力が求められる傾向にある。そのため、社会の基礎知識を習得すると同時に、昨年度のような難易度の高い資料問題に多くあたって、それらの問題に対応できる力を磨いてほしい。公民の入試問題はその年の身近な話題から出題されることが多い。来年度は財政(税金)問題などに注目してみるとよいだろう。