【愛知県公立高校一般入試2023 社会講評と来年度に向けてのアドバイス】煩雑化・難化した社会

総評

今年度は資料や問題文を読み解く力がこれまで以上に求められる入試であった。

 

形式と難易度

例年通り、歴史・地理・公民の3分野から、表やグラフ、地図などのさまざまな資料を考察し判断する問題が多く出題された。

昨年度の資料問題が取り組みやすいものであったが、今年度の資料問題は、煩雑さが大幅に増した。かつ、完答形式の問題が9問(全20問中)出題されため、昨年度と比べて難易度が高かったと思われる。また、空欄補充問題が全20問中16問も占め、空欄の前後の文章を読み取ることができるかどうかがカギであった。

歴史分野

古代から近代まで幅広く出題された。大設問2では、新聞の発行部数に関する高度なグラフ読み取り問題や、共通テストのような仮説の検証に基づく資料問題が出題され、大設問2のできがポイントになったのでないかと考えられる。また、昨年度2問も出題された時代整序問題はみられなかった。

地理分野

日本地理・世界地理ともに例年通り複数の資料を読み取る問題が多く出題されたが、今年度はグラフなどの資料からどのようなことが推測できるかを問う問題が多かった。また、時差の問題はやや難易度が高かった。SDGsに関する問題は昨年度に引き続いて出題された。

公民分野

高速道路などの社会資本についてのレポートから人権・財政政策・資料の読み取りなどが出題された。例年政治分野を中心に大設問1題3~4問、経済分野を中心に大設問1題3~4問と大設問が2題出題されていたが、今年度は大設問1題7問であった。人権の制約に関する問題は共通テストのような形式で出題され、配点も2点と高かったため、重要な問題となった。

まとめ

今年度の問題をひと言であらわすと「煩雑」である。これほど解くのに疲れた入試問題はなかったのではないか。初見の複数の資料とその資料について述べた文章から考察し、問題文の空欄に当てはまる語句や文章をこれまでに身につけた社会科の知識をもとに判断する、これが延々と続く辛い入試であった。

来年度の受験生へ

来年度も同じ傾向が続くと考えると、受験生はこれに耐えられる精神力と対応力を身につけなければならない。そのため、愛知県入試の過去問題だけではなく、他県の入試で出題された資料問題を積極的に解き、読解力・考察力を磨いてほしい。