【令和二年愛知県公立高校入試問題】国語 講評 前島良雄
令和二年愛知県公立高校入試問題 国語の講評を掲載いたします。執筆は前島良雄先生(最大手予備校国語科を率いて32年、あかつき塾国語個別指導講師、「国語の本質を識る」指導者講座講師、教育フェア岐阜2021登壇予定)です。
「【Aグループ】
大設問の一と三が説明的文章であったが、どちらも昨年度より読みやすいものであった。
文章量も昨年度よりやや少なかった。
これらのことから、一と三に関しては全体的にやや易化したと言える。
だが、文章の展開を問う問題(一の(五))や段落の関係を説明する問題(三の(五))はかなり高度な力を必要とする問題であった。
古典は、漢文(書き下し文)であったが、ここ数年のものに比べると理解しやすいものだった。
新しい傾向の問題としては、空欄に入る言葉を選ぶと同時にその意味を答えるというものが出された(三の(一))。
記述の問題は、文末が「……から。」で終わるという、愛知県としてはきわめてまれな形の出題であった。また、要求している内容にやや無理なところがあるために、うまくまとめるのが困難な問題になっていた。
合否のポイントになったのは、一の(四)(五)、三の(五)、四の(二)(三)というところであったと考えられる。
【Bグループ】
Aグループと同様に、大設問一も三も説明的文章が出された。つまり、今年度は小説が一つも出されなかった。愛知県は以前から小説の出題についてはきわめて消極的なので、このことは意外なことではない。
Aグループよりも文章量が少なく、内容も理解しやすいものであった。
記述の問題は、Aグループとは違って愛知県のいつもの形で出されていたので、きちんと練習してきた人にはそれほど難しいものではなかったと考えられる。
全体としては、Aグループよりも少し易しかったと言える。
新しい傾向の問題としては、本文に対する生徒の感想文という形で出された文章の中に脱文を二箇所挿入するという、かなり珍しい形の問題が出された(一の(六))。
また、ことわざの空欄補充という、出されているようで実は一度も出されたことがない問題が出された(「善は急げ」の「善」を書く)。
合否のポイントになったのは、一の(四)(五)、三の(三)(五)、四の(一)あたりだったと考えられる。
純然とした文法の問題は一問も出されなかった。
なお、Aグループの大設問三(中屋敷均)とBグループの大設問一(長谷川眞理子)の本文は、著作権の関係で、市販される問題集等には掲載されない(それぞれ、出版社と著者が問題集等への掲載を拒否している)ので、今後見ることは不可能になる。速報の形で出されたものをなんらかの形で保存しておくことをお勧めする。」 前島良雄
Aグループ なぜこの記述問題が難しかったのか、模試出題者の立場からその理由を論理的にお話しする機会はまたいずれ。
一番のポイントはココ❗️
「👉記述の問題は、文末が「……から。」で終わるという、愛知県としてはきわめてまれな形の出題であった。また、👉要求している内容にやや無理なところがあるために、うまくまとめるのが困難な問題になっていた。」
新中3生が過去問をやる時期が来たら、個別に対応します。
新聞には全文公開されていますから捨てる前にとっておくとよいでしょう。あかつき塾には保管してありますからご心配なく。