【当塾が特殊算ではなく、方程式を教える理由】まずは教える側が中学受験算数を柔軟にとらえる必要があります

先週あたりに、X上で「当塾は特殊算ではなく方程式を教えます」とつぶやいたところ、想像以上に多くの反響をいただいたため、X上でのご意見も参考にしながら、改めて整理してみました。

まず、「特殊算」と「方程式」のどちらが良いかについては、万人に共通する正解があるわけではなく、お子様の算数に対する得意・不得意といった前提条件によって異なると考えています。

特殊算が向いているのは「算数が得意で、特殊算の意味を直感的に理解できる力がある」お子様です。

一方、方程式は数学が得意でなくても体系的に学びやすく、誰にでも理解しやすいという利点があります。

X上で強く方程式を否定し、特殊算を頑なに推奨されている方々は、おそらくご自身が算数を得意としていたり、算数が得意な塾生が多い環境で指導されている方ではないかと思います。あるいは、特殊算で算数のおもしろさに気づいたお子様をお持ちの保護者かもしれません。いずれにせよ、特殊算を使う中学受験算数に適性があった方々でしょう。

当塾のように、幅広いタイプの塾生に対応する必要がある環境では、方程式を活用した方が有効だと感じています。

実際、大手塾で算数の成績が伸び悩み、当塾にご相談に来られるお子様には、ある共通した傾向があります。
これは特定の一人に限った話ではなく、ほとんどのお子様に共通して見られるため、私はこの現象を「大手塾症候群」と呼んでいます。

【大手塾からの転塾者に見られる傾向】
* 問題文の意味を理解せず、数字を何らかの公式に当てはめようとする
* パターン化された問題には対応できるが、 少し複雑になるととにかく何かしらの答えを出そうとし、無関係な公式を持ち出してしまう
* 「分からない」と言わない、言えない

【保護者に見られる傾向】
* 特殊算そのものは日本の中学受験独自のガラパゴス的なものですが、まるでそれしかないように思いこまされている。そのため、理解を伴わない当てはめパターン練習を繰り返しさせている。算数が苦手な原因を「計算力」や「読解力」の問題だと考えている。

* 算数を「パターン」や「パズル」のようなものだと捉えている

大手塾症候群に陥ったお子様は、反射神経で解答を出すことを“かっこいい”と感じてしまっています。

この症状を改善するためには、「問題文をよく読む」「情報を整理する」「立式・計算して解答を導き出す」といったプロセスを、根気よく教えていく必要があります。

これは実際にあった話ですが、ある保護者の方に「算数って、何か考える必要ってあるんですか?」と聞かれたことがあります。何年も前のことですが、今でもその衝撃を鮮明に覚えています。特殊算を誤った方向に突き詰めてしまうと、ここまで認識が歪んでしまうのかと驚きました。

そして、同じような状態にあるお子様や保護者が少なくないことに気づいたとき、背筋が凍るような思いがしました。

この経験は、当塾で方程式を本格的に導入するひとつのきっかけになりました。
小さな塾で、できることは限られているかもしれませんが、私たちの手の届く範囲で少しでも多くのお子様を救いたいという思いで日々取り組んでいます。

まとめ:
「特殊算」と「方程式」のどちらが良いかは、生徒一人ひとりの特性によって異なります。特に、算数が苦手なのに「大手塾だから安心」と思いこんでしまっている方々に、私たちの思いが届くことを願っています。

当塾では、大まかにこのようなイメージでとらえています。