【通知表の「書く力」その評価は本当に正しいのか〜その1】「書く力」が指すもの3つ
名古屋市公立中学の通知表を見ると、国語以外の評価欄は4項目なのに、国語だけは5項目あります。項目が全てAにならないと「5」はつきません。通知表を「1」上げるのが非常に難しい教科です。
しかもどうやって勉強したらよいかわからない教科No.1です。(その理由はまた次回)
通知表の評価だけを見て、「うちの子は書く力がない。子ども自身もそう思い込んでいる。どうしたらよいかわからない。」
よくあるお悩みです。
でもちょっと待ってください。本当に悩む必要があるのでしょうか。
「書く力」がBやCのお子さんは本当に書く力が足りないのでしょうか。
そこでまず今日は、そもそも「書く力」とは一体、何を指すのかについて前島良雄先生よりいただいたお話を掲載します。
「書く力」とは一体、何を指すのか。
これには大きく分けて3種類あり、全く異なります。それぞれにより対処法は全く異なります。
まず「書く力」「記述力」という言葉で漠然と考えられているものをきちんと整理すると大きく次のようになります。
①文章の傍線部についての内容説明や理由説明を20〜30字、または70〜80字ぐらいで書くこと
②図表や「生徒が書いたという設定の文章」などに関しての意見を100字〜200字ぐらいで述べること
③読書感想文を含めて、各種の作文を1000字〜2000字ほどで書くこと
これらはそもそもまったく異なったことであって、それぞれに応じた力が必要です。
どれにも対応できる「書く力」などというものは存在しません。
では「書く力」に不安をいだいている人がまずしなければいけないことは何か。
1️⃣上記の3つのうちのどれが苦手なのか把握すること。
2️⃣自分にとってはどの力が必要なのかを自覚すること。
この二つです。
ということは、当然、生徒以前にまず教える側がしっかりと認識していないといけないのですが、実際には教える側が大雑把にしか捉えていないので、いたずらに生徒の不安をあおり誤った苦手意識を持たせることになっています。
一般的な高校入試に限っていうならば、②や③の力はほぼ必要ありません(地域によっては②などが必要なところもありますし、推薦などの場合やごく限られたケースでは一見③のように見える課題が出されることもありますが、学校で出される③とは似て非なるものです)。
これらの大きく性質の異なった力(だから当然身につけるためにやるべきこともまったく異なってきます) を、大雑把に「書く力」あるいは「記述力」などと呼ぶことで同一の力だと考えていてはいけません。そのような意味での「書く力」「記述力」などというものは存在しないのです。
以上 前島良雄先生より
続き【その2】は、明日…
通知表の「書く力」の正体がわかったところで、次は「じゃあどうしたらいいの?」について。「当塾では何をしているの?」についてお話しします。
ここで「何らかのテクニックを教えている」と勘違いしないでくださいね。
目先のテクニックがないわけではありませんが、小学生のうちからテクニックに走ってはいけません。小中でそれに染まってしまった子は高校で絶対に伸びません。しかも全教科において。
中3秋以降の高校入試対策講座で、「いざあと数点を奪手するため」という時点には教えますが、「あくまでも合格ラインに乗せるため」であり本来の方針ではありません。上位に行くほど一点を争う熾烈な闘いになるためです。その時は割り切って「勝ち」を取りにいきます。
なぜなら上位に行く子ならそれがあくまでもテクニックであることを理解できるからです。「普段からそれで何でもいける」などという幻想は抱いていません。「使い分け」部分をわきまえています。
あかつき塾には「テクニックだけを切り出して教える塾にはならない」という信念があります。普段からテクニックを刷り込むことは、百害あって一利なしであることをご理解いただけるご家庭とご縁が持てればそれで充分です。
お通いいただいている皆様に感謝いたします。