【「現代文・小論文」に必要なのは書き方よりも素養】たとえば「音楽」

今後、大学入試は定員の半数は推薦入試で決まるようになっていくと言われています。では推薦入試で必要な力とはどのようなものでしょうか。多くの推薦入試には志望理由書や小論文が課されます。そのとき何を書きますか。

どう書くかと何を書くかは大きな違いです。どう書くかはいわゆるハウツーです。短期間でも練習すればある程度うまく書けるようになります。しかし何を書くかについてはそれまでに何に興味を持ち、何を知ろうとし、どう考えてきたか等、短期間ではどうにもならない思考の深さが問われます。ただの「よい子の作文」ではいけないわけです。採点側に立ってみてください。とってつけたようなありきたりな作文を読まされるのはうんざりだと思いませんか。斜めに読まれて一瞬ではじかれるでしょう。

膨大に提出される小論文の中から採点側の目に留まり、ときにうならせる「うちの大学に欲しい。この学生に会いたい。」と思わせる内容が書けなければなりません。上位大学になればなるほどそうです。「半数が推薦入試になるなんてラッキー」ではありません。逆に基礎学力は当たり前、その上で何か自分にしかないものを見つけ、考え、書けなければなりません。

ですから推薦入試といっても、とくに小論文を課される大学に合格するには「自分を表現できる考えかたの軸」を持っているとかなり応用が利きます。するとたとえどんなお題が課されようとも、自分なりの着地点に落とし込みやすくなります。

推薦だけでなく、大学の後期試験で課される小論文も同じです。結局、文章を書くためにはその土台となる視野の広さと深さが必要です。もちろんテーマ別に対策を考えておく必要はありますが、「自分の立ち位置」「思考の方向性」をつかんでおくと、テーマに関係なく途中を少し変えて書くだけで自ずとテーマに沿った適切で自分なりの着地点が見えてきます。あとはその着地点をめざして書いていけばよいのです。

着地点をめざして書いていく、その過程は非常に楽しいものです。たとえ入試本番でもです。本番にこのようなゾーンに入れたならば合格を確信することができます。逆転合格を成し遂げるより、日頃から教科の勉強と素養磨きをした上で「確信合格」につなげていきましょう!入試は博打ではありません。堅実にいきましょう。

では「素養磨きとはいっても何をしたらよいの? 」「小論文対策をすればいいの? 」

違います。多くを知り感動することです。人は感動することで動きます。感動は否応なく知識欲をかき立てきます。「知りたい」という気持ちがあって初めて自らいろいろと調べ始めます。こうして思考を楽しむ回路が作られていきます。一番の原動力となるのはやはり感動です。

勉強のできる子に聞いてみてください。大変だと思う時もあるでしょうが基本的に「勉強を楽しんでいる。知ることやできることが増えるのは楽しい。」と答えるのではないでしょうか。

(今中学生を悩ませている通知表の「主体性評価」ですがこれはあくまでも学校基準内での主体性です。本当の主体性を測るのは原理的に無理といえます。)


興味のある分野を広げ、知識の裾野を広げ、疑問をたくさん抱きましょう。その時、解決しなくてもよいのです。すぐに答えが出るものはそれなりの価値しかありません。すぐに答えが出ないから面白く、わならないものをわからないまま(諦めるのではなく)抱えておく耐性をつけるのも大切です。なんのために勉強するのかと聞かれたら「勉強することが楽しいから」それが一番幸せな回答だと私は思います。

【教養講座・動画配信のお知らせ】

知ることは楽しいことであり感動を伴うものであることをみなさんに広く知っていただくため、近々動画を配信します。学校で履修することだけが勉強ではありません。目の前のテスト・受験に追われていても、「楽しく学ぶ」視点を忘れないでほしいという願いを込めてお届けします。

「11月30日(火)に、愛知県瀬戸市にある中高一貫の女子高の聖霊高校で、高校三年生を対象に、国語(現代文・小論文)の授業の一環として、講演をさせていただくことになりました。「音楽って何だろう?ーー学校では教えてくれない音楽の話」というタイトルでちょっと「過激な」話をするつもりでいます。」 前島良雄

小論文は題材さえそろえばちょっとしたコツをつかめば書けるようになります。やはり論文の中身となるものをたくさん持っている人は誰の目から見ても魅力的です。そんな教養豊かな大人に接する機会をつくるのが当塾の仕事の一つです。