【令和7年 2025年 愛知県公立高校入試 社会を紐解く①】解説

社会は昨年度と比べてやや難化した。
【難化の要因】
《完答問題の大幅増》
21問中11問が完答問題で、完答問題の割合は過去最高であった。完答問題のなかには、昨年度はみられたかった3つを解答させる問題も2問あった。また、選択肢のなかに「ありません」というものまであった。
《歴史分野》
昨年度のように教科書に沿った資料問題ではなく、教科書にない内容も含まれた生徒の予想を検証する形式の資料問題が出題された。
《図版を用いた資料問題》
教科書に記載があるものの昨年度よりも難しかった。
【歴史分野】
2点配点の問題もあり、例年よりも配点が大きかった。さらに7問中6問が完答問題であったため、歴史分野のできがポイントになったのではと思われる。
《大設問1》
ボッティチェリの三美神(プリマベーラ)の図版から、この絵が描かれたころの日本の様子と、そのころと最も遠く離れたヨーロッパのできごとをともに選択させる問題がやや難しかった。
《大設問2》
田中義一内閣など教科書に記載のない内容を含んだ議会政治に関する内容が生徒の予想を検証する形式で出題されたため、受験生は手こずったのではないかと思われる。
この問題のカギは(田中義一や浜口雄幸といった知識を問うているのでなく)、生徒が予想したことがらに対する検証の文章を、複数の資料を参考にして読み取れるかどうかである。こうした形式の問題は2023年度にも出題されているので、注意が必要である。
【地理分野】
日本地理分野から3問、世界地理分野から4問出題された。
《世界地理》
指数を用いた資料問題。
例年の指数や前年比を用いた資料の読み取り問題と比べると易しかった。
《緯度の問題》
回帰線や赤道を基準にして考えるとわかりやすいだろう。
《歴史との融合問題》
インダス川を示した地図とインダス文明に関係する図版(写真)を選択する問題があったが、インダス文字の図版は少し戸惑った受験もいたと思われる。
《日本地理》
中学受験のような4県の分県図の資料もみられた。
【公民分野】
昨年度と同様に大設問5で経済分野から、大設問6で政治分野から出題され、国際社会からの出題はみられなかった。
《経済分野》
為替の変動によって、円をドルに交換したときに受け取るドルがどうなるかなど、思考力が問われる問題が出題された。
《政治分野》
国選弁護人に関することがらや法テラスに関する知識を問う問題が出題された。
【来年度に向けて】
《資料問題への対応力を磨く》
正確な知識を習得すると同時に、資料を正確に読み取り考察して正答を導きだす力を高める必要がある。そのため、愛知県入試と類似した資料問題に多くあたって、それらの問題に対応できる力を磨いてほしい。
《時事的問題に接する》
2025年は普通選挙100周年、インバウンド、円安などの為替、インドと中国の人口など時事的な問題が多数出題されているので、日頃から世の中の動きに注目してほしい。
来年度のために、次のブログもご覧ください。